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民泊とインバウンドを考える【ロング記事】

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「爆買い」「インバウンド

ここ一~二年の日本経済における重要テーマである、このフレーズ。

 

外国人観光客は増加の一途を辿っており、東京五輪へ向けて今後ますますの増加が予想される。これら外国人観光客の取り込みを無視しては商売上がったり。

今、日本を覆う、インバウンド需要に対するイメージを文章にすると、このような感じだろうか。

 

商売あがったりかどうかは別として(日本人向けビジネスも引き続き重要)、外国人観光客の取り込みはビジネスチャンスである事は間違いないだろう。街を歩いていて見かける外国人の数も目立って多くなってきた。

 

筆者の周囲でもインバウンド需要に目を付けたビジネス展開をしている人が多くおり、良く話を聞くのだが、必ず耳にするのが、

①バスの不足

②ホテル床面積の不足

である。

 

バスの不足については別の機会に述べさせて頂くとして、本稿においては、②ホテル床面積の不足、について考えてみたいと思う。

筆者が縁の深い、不動産投資の世界ではホテル2年前から開発用地、ホテルへの用途転用物件の数が不足し始めていた。数年前は値ごろな余剰物件がそこそこあったものだが、今ではほぼマーケットで見かけなくなった。

オフィスビルであった場合は年間の家賃収入が1,000万円であった物件があったとして、ホテルに転用した場合の粗利収入が2倍の2,000万円だったとしよう。

不動産の理論価格は、得られる収益を利回りで割り戻した金額である。例えば、適正な利回りが10%で収入が1,000万円であれば、不動産の理論価格は1億円、ホテル転用した場合、2,000万円÷10%なので、理論価格も2倍の2億円、という事になる。

 

数年前は、前記の例でいうところの収入1,000万円のオフィスビルは当然1億円で出回っていた。不動産業者はホテル転用をする為に1億円でビルを仕入れ、ホテルに転用した後に2億円で売却、1億円の利ザヤを得ていたのだが、ここ1~2年は、ホテルへの転用がされる点が価格に織り込まれ、オフィスビルが1億8千万円でないと仕入られなくなってきている。

不動産業界におけるインバウンド需要はややバブルの様相を呈してきたと思う。今かろうじて投資出来るとすれば、地方のリゾートホテル案件位であろう。

 

このようなバブル相場が生まれるほど、昨年まで不動産業者はホテル用地を買いあさってきたため、既に今は着工ベースでかなりの床面積でのホテルが建設されており、遅くとも再来年には多くのホテルが市場に供給されることになるだろう。ただし、あくまで再来年であり、今日現在の話では無い。

 

ここで考えてみたいのが、「民泊」という存在だ。

 

本日時点においてはまだまだホテル床面積が不足しており、都内への旅行客にとって良質で安価な宿を予約する事は、難しいことになりつつある。airbnbなどに代表される民泊用サイトを使って宿をとる外国人旅行者は多い。

 

この民泊、実に儲かる。

民泊を運営する業者、個人に話を聞いたところ、ワンルームマンション家賃8万円のところ民泊で運用すると月収30万円になることもザラだそうである。転貸するだけでなんと月22万円、ほぼ寝ているだけで収入を得ることが出来るのだ。

運営者によると、大家には必ず許可を得ているそうだ。民泊運営をする場合、不動産を借りた後に家具を入れたりアメニティを入れたり、20万円程度の投資は必要となるわけだが、大家にバレてしまうと追い出された上に現状回復を求められ、大変ワリに合わないことになってしまう為だ。

但し、管理組合にはあえて言わないそうだ。

 

では今すぐ筆者も民泊を始めよう!とはならない。

 

法的にはこの民泊の運営は非常にグレーゾーンである。本来、営利目的に人を宿泊させる場合は、旅館業の免許を取得しなければならないわけだが、民泊において旅館業免許を取得している運営者はほぼいない。それゆえに大手が参入せず又は出来ず、美味しいとも言えるが。

恐らく、民泊運営者は「airbnbというSNSサイトで知り合った外国人の友人を自宅に宿泊させてるだけだ。友達を泊めているのだ。ゲンキンにも謝礼は貰っちゃってるけどね」という法的な建前で運営をしているのだろうが、宿泊させる行為に反復継続性もあるわけだし、友人といっても不特定多数であるし、かなり難しいところだ。

 

又、美味しい話だけに昨今は民泊の運営も競争者が多く、加熱気味な様子である。

筆者が、民泊の人気エリアの不動産オーナー何社かに、民泊利用を目的とした賃貸が可能かどうか問い合わせたところ、23物件全てNGであった。

一方、不人気エリアの物件は15物件問い合わせて3件がOKであった。

段々、美味しさが減じてきている、つまり民泊市場はかなり煮詰まってきている、という実態なのではないか、と感じた。

 

ここからが本稿の趣旨である。

 

このような状況の中、政府は今さら規制緩和の議論をスタートし始めた。大田区における民泊は実質上ほぼ規制緩和など出来ていない。

7泊以上宿泊する旅行者以外、泊められないのだ。役人、政治家という人種がいかに商売を理解していないか、嘆かわしいことこの上ない。

4月1日から旅館業法上の簡易宿所の要件が緩和されたが、これはカプセルホテルスタイルの部屋でないと許可を取得できない。(筆者はそんなところに泊まりたくない)カプセルホテルスタイル、YMCAのような宿でバックパックツアーをしたい需要が有る事は当然理解できるが、少なくとも支払を伴う、GDPや経常黒字に貢献するような需要創出では無いわけだ。

 

つまり、実質的には合法的に、国益に適う需要がある形で民泊を運営する事は、本日現在出来ないわけである。

 

エイブル大京穴吹などは大田区における民泊可能物件の開発に乗り出すそうだが、筆者は失敗するだろう、と考えている。ある業者は戸数46の民泊対応型マンションを開発する為に10億円を投資したそうだ。

投資したばかりなのに気の毒であるが、需要のないサービスを提供する事は、宇宙の法則に反する事だ。恐らく、普通のマンションとして

 

薄ーい利益で

 

売却して終わることだろう。

 

政府による実体経済への支援(≒規制緩和)が困難であることを、改めて考えさせられる。