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マイナス金利をMUFG社長が牽制、実際の効果は?!

f:id:super-news:20160415172551p:plain(©Google2016)

MUFGの平野社長が14日、都内の講演会でマイナス金利政策に対して、

・効果が疑問

・銀行の体力にとってはネガティブ

という批判を展開したそうです。

 

 日銀や金融庁の検査を恐れる事、

 

子犬のよう

 

な銀行の方としては珍しいことかと思います。

 

平野社長のおっしゃるように、マイナス金利の影響は限定的なのでしょうか。少し考えてみたいと思います。

 

マイナス金利はそもそもなぜ導入されたのでしょうか?

当然ですが緩和策の一環、と言えます。マイナス金利導入により期待される成果としましては、以下のようになりますでしょうか。

①通常の低金利政策で期待される効果(企業収益向上、設備投資の増加etc)

②日銀当座に停留するマネーの実体経済への流入

通常の低金利量的緩和で期待される効果については、これまで散々に論じられてきた部分かとも思いますので、本稿では触れずにおきます。

 

やはりマイナス金利で期待される部分としては、赤線でアンダーラインまで引いてしまいました、②に尽きるのではないでしょうか。

 

これまでも日銀は異次元緩和と称して、空前の金融緩和を行いデフレ退治に果敢な挑戦を続けてきました。

しかしながら、実体経済にマネーが中々下りてこず、緩和したマネーは日銀の当座勘定に停滞し続けており、これがデフレ脱却の足かせになっております。

 

本来、アベノミクスは、三本の矢を提唱しており、金融政策に続く第二の矢として積極的な財政出動をうたっていたはずでした。

しかしながら、財政均衡派の弱気な声も無視しきれず、公共事業の拡大をしていくのにも限界があり、第二の矢はか細い物となってしまっています。

実体経済にお金が下りていく為には、第二の矢がしっかりとしていなければなりません。

「神々の見えざる手≒経済合理性」だけで行動する民間セクターは、社会的使命による支出・投資をする事は出来ません。これはこれで健全で効率的な社会を作っていくために大切な事なのですが、そもそも金融システム自体が人間の作りだした不自然な物である以上、マクロ経済にも「流動性リスク」があり(※1)ますため、個別経済主体である企業が自分にとって最適な行動をとると、その最適な行動が単なる貯蓄であった場合、且つそれが全企業に言えるようなマクロ環境であった場合、資本の流通がストップしてしまい、失業や低収入が増えてしまうのです。

(※1:分かりづらい表現かもしれません。シンプルに言うと、「地球も倒産する」という事です。1000年単位で考えれば一時的な停滞であったとしても10年すさまじい失業率が続くと、人間の命が日々の生活によって成立する以上、その10年で死んでしまう程不幸になる人が多く生まれてしまう、という事をこのフレーズで表現しました)

 

デフレ環境とは、通貨の価値が上昇する環境、と言い換えることが出来ます。同時に資産の利回りが低下する環境でもあります。従いまして、投資して資産を保有するよりも通貨のまま持っていた方が、トクである事が往々にしてあるわけです。

企業は利己的な経済合理性で意思決定をしますので、デフレ下でポンポンと投資する事は出来ないわけです。勇気ある企業が社会的使命で、不況下でも新卒採用数を一切絞らず、赤字であっても日本の為に頑張って投資を続けてくれた場合、

 

その勇者は犬死にしてしまいます。

 

悲しい事ですが、そうなってしまいます。

ところが、政府は死にません。(いつかは死にますが)しかし、企業が1兆円損すると死ぬとして、政府は1兆円程度の損では死にません。社会的使命での支出が出来るプレイヤーは地球上に政府しかいないわけです。

 

金融緩和によって、金融市場に供給されたマネーはそのままでは我々民間人の手には入ってきません。金融市場に僕たちシモジモの人間は手を伸ばせないのです。

金融市場に手を伸ばせるのは金融機関だけです。

僕たちの手にマネーが入る(≒実体経済にマネーが入る)ためには、金融機関から投資か貸付をしてもらわなければならないわけです。

 

ところが、中々金融機関は貸付を思う様には増やしてくれません。

 

銀行員曰く、担保が無いと中々貸出せないのです。(BIS規制というのがあって、担保無で貸し出した場合、銀行用特殊経理ルールによって、損失計上させられるのです。これについては別の機会に詳しくお話してみたいと思いますが、まあ欧米の陰謀のひとつです)

日本において担保とはすなわち不動産です。かくして、過去の緩和ステージにおいても、我が国では不動産バブルが毎度発生してきました。

不動産屋や金融マンがいくら潤ったって、発明も生まれませんし、人の生活は向上しません。かくして、数度の不動産バブルは今を生きる我々に何も残してはくれていないのです。

 

一方、ITやバイオ分野にお金が流れたらどうなるのでしょう?イノベーションを通じて人の生活の向上、しそうですよね。

実際にスマホや、新薬で我々の生活は向上していると思います。ガンの特効薬が安く手に入る世界になったら、将来景気悪化して収入が減っても、安くガンが治るのでタバコ吸い放題(イヤッホー)、暮らしはその分豊かになったと言えますよね。

 

どっこい、この程度の理屈は銀行マンの人たちもよく理解しているのです。しかし、それでも貸せません。いや、

 

借りてくれない

 

のです。

私は不動産セクターでの銀行調達、小売やITセクターの調達実務にもいくつか関わっております。銀行マンのみならず、周辺にいる私も強く感じるところでは有りますが、銀行の貸出残高はメガバンクですと100兆円単位であり、一件数千万円の貸付などいくらやっても貸出残高を積んでいけないのです。

 

銀行員が成績を上げようとすると、どうしても一貸付あたり数百億、という案件を手掛けざるを得ません。一方で、小売やITの会社が数百億貸し付けられたとしても、使い道がありません。それまで従業員数100人だった会社が、借入出来るからと言って突然、人を1万人雇う?そんなバカな事は起こりっこないわけです。

 

通常の商売においては、投資は最初はコストしか生みません。例えば人を雇った場合。既に回っている分野の商売であれば、人手不足分を雇ってどんどん売上を上げていけますが、ある程度売上には上限があります。その上限売上を超えて成長していく為には、新たな商売、新規事業を始めていくしかないわけですが、新規事業でいきなり売上がしっかり上がって、利益が出ることは稀です。

利益10億の企業は、その10億の範囲のコストしか許容出来ませんから、人件費一人1000万円(ちょっと高いですが)だとしても、新規事業の為には最大100人しか採用出来ないのです。それだって、二年目以降利益が出る新規事業に限った話です。実際には失敗するかも知れませんし、そんなに投資出来ません。

 

自然、不動産に貸付が回ってしまいます。不動産への資金流入は相場で生きる不動産や金融セクターの懐を潤すだけで、何も生み出しません。IT業界で技術者が1万人増えれば、人工知能が発達して自動家電が生まれたり、それが安価に大量生産される方法が考案されたり、しそうですよね。でも不動産は何も生みません。

 

実体経済にお金を流す為には、金融機関経由ではどうしてもうまくいかないのです。

本来、政府がその役割を果たせばよいのですが、財政赤字を嫌う論客は世の中に多く、特に財務省に多く(大きなお世話ですかねw)、少なくとも本日現在、私は政府はその役割を果たしきれていないと思ってます。

 

マイナス金利があれば、銀行が貸し出しをしない場合、銀行収益がマイナスになっていきます。従って、貸出をどんどん増やしてくれるだろう、というわけです。

 

そういう意味で私は非常にこの政策に期待しています。

但し、以下の懸念点があります。

 

★実施した貸出は金融庁検査で行政にチェックされる、担保の無い貸出は検査官から叱られてしまう為、銀行は、やっぱり不動産に貸付けがち★

 

従いまして、このままプレーンにマイナス金利政策だけを走らせた場合、ただ単に不動産バブルが起きて終わってしまうのでは無いかなあ、と思う訳です。不動産への貸付規制をしたとしても、別の資産バブル(M&Aバブルとか)が起きて、例えば本ブログが数億で売れたり(嬉しい)、そんな異常な世界が来て終わり、になってしまわないのかなあ、と懸念しております。

 

マイナス金利政策には、金融庁検査の見直しをセットにしないと上手くワークしないように思いますよ、と小声で提言しつつ、本稿を終えたいと思います。

 

ブログバブルは歓迎しまー(ry